スローでロハスな不妊治療★すし太郎日記

両側卵管閉塞でFT手術後に体外受精。1周期で妊娠したけど子宮頸管無力症で18週に流産でした。中期流産を経て妊娠して娘を出産、そして、二人目体外受精の挑戦を記録したブログです。

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「破水してませんね!無事に手術が行えますね。」

いよいよ手術です。朝から絶食となっている。内診後、手術の手順などを一通り説明を受け、手術室の横の部屋に移動となる。引き続きウテメリンとブドウ糖の点滴をしつつ、剃毛し、手術に備える。

成功の確率は低いと聞かされている。これが最後になるかもと思い、超音波の画像を見たことのない主人にすし太郎に会いたいかを確かめる。主人はもちろんだと答える。そこで、先生にお願いしたら、超音波のモニターをもってきてくれ、手術前に30分ほどじっくり様子をみせてくれた。相変わらず、すし太郎は元気で、入院中にも40グラムほど増え、身長も一回り大きくなっている。心拍も強く、先生が本当に元気ですよとお墨付きをくれる。いろんな角度からじっくりとすし太郎と対面した主人は大喜びだった。

すると、先生が一瞬止まった。そして「みたいですか?」と意味ありげに聞いてきた。性別のことだった。すし太郎見事に開脚していてモニターに様子が映っていた。


「これはまぎれもなく男の子ですね。間違いようがないですよ!」


私たちはこれまで「すし太郎」と呼んでいたが、男の子か女の子かはわからなかった。なんとなく男の子と思いつつも、ネーミングのいきさつは全然ちがう。でも、やっぱり男かーとうれしくなってしまった。主人も大喜びである。成功の見込みの少ない手術を前にも、これまで以上にうれしかった。赤ちゃんが元気でいるようすを主人と二人で幸せを感じながら話し合えるこの時間が本当にかけがえなく、いつまでも続いてほしかった。


「元気に今日の手術のりきろうね、すし太郎。まだ出てきちゃだめだからね。もう少しお腹の中にいてね。」と二人で何度もお腹に話しかけていると、手術の時間が来たことを告げられた。




手術室に入るとすぐに下半身麻酔の準備が始まった。背中に消毒し、注射しているのがわかる。しばらくすると足がぽかぽか温かくなってくるとすぐに感覚がすっかり麻痺してしまった。意識ははっきりしている。先生たちの会話もすべてはっきり聞こえてくる。


出てきた赤ちゃんの袋を重力を利用して子宮に戻すため、私は逆立ちの格好で手術が行われる。時間の感覚がよくわからないけど随分経ったような気がする。それに全体重を肩で受けているので少しずつ肩も痛くなってきた。

「よく戻せたな」


先生の声が聞こえてくる。どうやら脱出した袋が子宮にもどったらしい。一瞬、安堵と喜びを感じるがすぐさま先生がこう言った。


「なんとか袋は戻ったけど、破水しているかもしれないからそれを確かめますね」


私は祈るような気持ちで答えをまった。すると、一瞬の間をおいて、残念ですが破水していました、という答えが返ってきた。そして、執刀医のT先生は主人に状況を説明しに手術室でていった。


私は終わったのが信じられなかった。まだこれからもなんとか頑張る手だてはないのかと、状況も選択肢もよくわからないままに一生懸命考えていた。何かできるはず、何かできるはずと訳もわからずに考えていた。外からしばらくして先生は戻ってくると、私にこのまま袋を戻した状態で手術を終えるが、分娩に入って赤ちゃんを産むか、私の希望を確かめようと聞いてきた。


何がいまベストなのか、何が最善なのか昨日から主人と話し合ってきたことを一生懸命思い返しなんとか答えようとした。懸命に命を助けようとしてくれた先生や看護婦の皆さんの前で泣くことはしたくなかったので、冷静になろうと、最後まで頑張らないと、すしと一緒にがんばらないと自分を諭しながら先生に質問した。


「このままおいて子宮においておいたら赤ちゃんは助かることもあるんですか?可能性は?」


先生の答えははっきりしていた。可能性はないとのことだった。今はまだ生きていますが長くは持ちませんといわれた。もうどうすることもできなかった。でも、判断を迫られていた。今決めなければならなかった。そして私は勇気を振り絞って答えた。


「どうする事も出来ないんですね」と聞く私に先生はうなずいた。



選択しなければならなかった。今すぐ返事しなければならなかった。私は胸が引き裂かれるような思いで限りなく勇気を振り絞ってこう答えた。


「助かる見込みが全くないのであれば、次に元気に赤ちゃんを産む可能性をなくしてしまわないように積極的に分娩することにします。」

涙が止まらなかった。一生懸命元気づけてきた自分、張り詰めていたものが全部ぶっ飛んで行き、涙があふれてきた。次の可能性とはいえ、今ここにいる赤ちゃんの命を奪ってしまうことを自ら選択しているのだ。一秒でも一時間でも生きていてほしいという気持ちがあるのに、これでいいのだろうかと自分を責める気持ちがやまなかった。何が正しいのか、何が最善なのかどうでも本当は良かった。なんでもいいからすし太郎を助けてくれと叫びたかった。


「その方が賢明だと思うよ。辛いだろうけど、羊水は感染症も起こしやすいし母体も弱っているから子宮の状態を悪くしかねない。そうしなさい。本当に残念な結果になってごめんね」


先生はそういうと陣痛促進剤の点滴を準備するように看護師に指示して、手術室を後にした。





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